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極高真空測定子 3BG XHV pressure gauge (3BG) head

熱陰極型電離真空 計に存在する "軟X線"、"電子刺激脱(ESD)"、 "ガス放出"の3つの測定限界を総合的に改善し、10-12Pa台 までの圧力計測可能な新しいタイプの測定子です。

測定子3B Gauge(スリービーゲージ)とは

Ion Beamを、円筒グリッドの側面からBelt状にして取り出し、240°Bent(偏向)した位置で捕捉します。熱陰極型イオンゲージに存在する "軟X線"、"電子刺激(ESD)"、 "ガス放出"の3つの測定限界を総合的に改善し、10-12Pa台までの圧力計測可能な新しいタイプの測定子です。

電極の構成 電極の構成

3BG カットモデル
白金イリジウム合金製グリッド、イットリア被覆イリジウムフィラメントのイオン源電極は、超低ガス放出真空構造材0.2%BeCu合金のコンフラットフランジ(ICF070)中に埋め込まれ、低ガス放出化が図られています。右の写真の左側の歯車状の部分は0.2%BeCu製イオンビームデフレクタです。

デフレクタ・コネクタ

3Gゲージの特長

1.X線限界:従来EXゲージの1/40以下、2×10-10Pa →5×10-12Pa
2.ESDイオン:偏向角240°透過率93%のデフレクタで完全に分離除去
3.中性 ESD:PtIr合金グリッド採用で高温脱ガス、 高エミッション電流で排除
4.実効感度:2.4×10-4A/Pa(4mA時)の高感度、従来品の2.5倍
5.ガス放出:新材料0.2%BeCuを用いて 従来品(SUS)の1/10以下
6.市販のコントローラで10-11Paまで計測可能

3BGゲージのスペック

電子エネルギ 100~150eV 測定子感度 5 ~ 7×10-2Pa-1(e比例範囲)
3.5~4.2×10-2Pa-1(10mA時)
フィラメント電位 10~100V X線限界 約5×10-12Pa
測定時フィラメント加熱電力 1.5A×2.8V ベーキング温度 最大300℃
E-beam脱ガス電力 480V×10~30mA フランジ材料 NiPメッキ0.2%BeCu合金
電子電流 1~4mA(e比例範囲),10mAも可能 電流導入端子 SUS304+Koval真空端子
偏向電極電位 155V(e比例範囲),145V(10mA) 取付フランジ ICF070(無酸素銅ガスケット)

3BGのX線限界特性

測定子3BGは、エリコンライボルト社製エクストラクターゲージ用コントローラIM540で制御できます。 右のグラフの○印曲線は、コントローラIM540で本品3BGを制御した場合の圧力変化に伴うコレクタ電流を示します。□印は、既存の測定子IE514から得られるコレクタ電流です。3BGの方が約2桁低い圧力まで直線性が保たれて、10-11Paまで補正無しで高精度の圧力計測が可能です。○印は、3BGを電子電流4mA(最適条件)で制御したときのコレクタ電流です。IM540には4mAの機能が有りませんので、別のコントローラを準備する必要がありますが、4mAで制御した時の方が、コレクタ電流の絶対値が大きくなり、より高精度、高頼性の測定が可能になります。

■IM540で制御する場合の注意 I
M540で3BGを制御する場合,デフレクター電位を155Vに設定するアジャスターが必要です(別売り部品としてソケット一体型のアジャスターが準備してあります).

IM540で3BGを制御した場合の圧力特性

3BGの特長を活かして制御出来る既存のコントローラに、エリコンライボルト社のIM540があります。

右のグラフは、IM540で3BGを制御した場合の出力と,IM540でIE514を制御した場合の出力を比較したものです。テストした圧力の3×10-9Paの到達圧から窒素ガスを導入して9×10-3Paまで、2つの真空計の読みは完全に一致します。3BGはこれ以下の10-10Pa台の測定から威力を発揮し、残留電流の調整無しで1×10-11PaまでIM540を用いて高精度の圧力測定が可能です。

また,IM540にはUser Modeが用意されていますので,フィラメント電位を10Vか80Vに下げ,電子電流を10mA(最適の4mAは選べない)に設定すれば,実効感度を高くした状態での測定も可能です。10-11Pa以下の圧力を計測したい場合は、信号ケーブルを市販の高性能エレクトロメータに繋ぎ替えれば1×10-12Paまでの計測が可能になります。

極高真空の圧力測定で注意すべき事柄(3BG開発のコンセプト)

イメージ画像デフレクタ・カバー付き3BG(出荷状態)
10-9Pa以下(極高真空)の圧力を正確に測るためには,測る圧力より1桁以上低い圧力まで測ることができる高性能の測定子が必要です。これまで市場に出されてきた極高真空測定子は、測定限界が10-10Pa程度のため、10-10Pa台の圧力を計測する際は、残留電流値に細心の注意を払うことが必要でした。残留電流値のわずか1~2%変動しただけで、10-9Pa台では±10%、10-10Pa台では±100%以上の圧力測定誤差が生じるためです。
ところが、ほとんどの真空装置で、真空計は1台しか使用しないため、測定者は圧力測定値に大きな誤差があっても、気が付きません。さらに悪いことに、測定限界値付近の誤差は、測定子の感度が変化して誤差が変動する場合(軟X線効果)と、残留電流変動によって誤差が変動する場合(ESDとガス放出)の2つがあって、混合していると言うことです。一般に前者の方の影響が大きい傾向にあるため、表示される圧力は実際よりも-10%、-100%と低く表示されます。極高真空は簡単に発生できないため、真空が低めに表示されることは、一見、大変都合が良いことですから、間違った報告や判断でトラブルとなり、場合によっては、大損失につながるケースもあります。我々は長い極高真空に関する経験の中で、このような不幸なケースに何度も遭遇しました。
このような問題に対し、当面の対処法としては、残留電流の補正を、エレクトロニクス技術を使って補正する方法が考えられます。しかし、このような補正は、X線限界、ESDイオン、中性ESD、ガス放出、など、広範囲で且つ細部に渡る配慮が欠かせないため、時間がかかり、頻繁に行うのは全く実用的ではありません。さらに、やっかいなのは、10-9Pa以下の圧力測定では、フェムトアンペア台の極端に微少な電流を計測する必要があり、エレクトロニクス側の性能にも配慮が必要になることです。
このような極高真空計測の複雑な問題に対し、最もシンプルで効果的な対処方法は、残留電流そのものが十二分に小さく、また、一般のエレクトロメータや既存の真空計のコントローラで十分に計測可能な高性能の測定子を用いることです。