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グラニューNEGポンプ*1Granulated Non-Evaporable Getter

   

      GNEG070-10

NEGの砂が飛び散らないNEGポンプです。NEG合金を粉砕した粉末から、粒径の大きいグラニュ-(砂)状粒子だけを選別して微細金網ディスク容器に入れ、そのままで稼働させる新しい形態の非蒸発型ゲッタ-ポンプです。

グラニューNEGポンプ の特徴

■NEGダスト・フリー
■XHV発生容易
■排気速度:ディスク数で調整
■大気解放後の劣化小
■NEG合金:ZrVFe3元系
■ディスク間を伸長して分布ポンプ*2
■シースヒータ&熱電対の脱着自由
■取付方向自由
■無振動、無荷電粒子、無電力(稼働時)
■グラニューNEG交換容易
■低価格

グラニューNEGポンプの主なスペック

項目 GNEG70 or GNEG70L
全排気速度 200 or 400 L(H2)/s
ディスク排気速度 H2=20, CO=16, N2=7 L/s
活性時の電力*3 90 or 160V, 0.5A
活性化条件 450℃×30min
フランジ ICF070 (SUS316L)
全高 150 or 260 mm
重量
(除Heater/TC)
450 or 600g

*1 内外特許申請中
*2 ヒータ/TCの長さは最大4 m の長尺物も製作可能.
*3 活性化専用電源は別売りで準備してありますが、 市販のスライダックを用いても温度調整が可能.

グラニューNEGポンプとは

 G-NEGポンプは、NEGの粉末を圧縮固化せず、砂状(Granulated)で使用する新しい形態の非蒸発型ゲッタ(NEG)ポンプです。粉末の中から比較的粗いグラニューNEG粒子だけを選別し、薄いディスク形状金網容器の中に詰めて、そのディスク5~25枚を棒状ヒータに串刺し状に装着したカートリッジ型ポンプです。
 粉を固めないことで数々の特長が生まれました。第1に細かいNEG粉末を選別でj除外することにより、NEGダストの飛散が激減しました。粉砕したNEG粉末を圧縮(変形)しないので、表面が粉砕時のレアな状態であり、排気能力は圧縮固化型NEG(ピル)より大きく、大気開放後の劣化も少なくなりました。第2に、製造時の固化作業の省略により、製造コストを大幅に抑えることができ、NEGポンプのコストダウンに成功しました。ディスクは、グラニューNEGの交換が容易な構造になっているので、メンテナンスも取り易く、ランニングコストを低く抑えることができます。本NEGの名称は、Granulated Non-Evaporable GetterからG-NEG(ジーネグ)と命名しました。

従来のNEGポンプはどうしてNEG粉末を固化してから使っているのでしょうか?

 この質問に答えるためにはNEGの歴史から話す必要があります。NEG合金をポンプとして活用するためには、ガス分子の吸着表面積を増やす必要があり、この点ではNEG金属の粉末化処理は不可欠です。しかし、一旦粉末にしたNEGを再び集めて固化することは、必ずしも実行しなければならない作業ではありません。ただ、粉末のままですと、NEGがダストとなって真空装置内に飛び散ることが起こるので、これを防止するためにこれまではNEG粉末の圧縮固化が行われて来ました。
 最初の固化は、イタリアのSAES社によって1967年に実現されました。その方法(1)は、Niを有する基板(Niメッキ鉄又はNi合金コンスタンタン)の上に強い力で押しつけると、バインダー無しでもZrとNiとの間に共晶化が起こり付着しました。当時ヨーロッパの原子核研究所CERNでは、一周27kmの大型加速器LEP計画のダクトを何で排気するかが課題になっていた時で、SAES社の開発したこのNEGストリップは長いリボン状にできたので、このポンプは理想的な形になりました。これを採用して結果、LEP計画は大成功を収めました。更にリボンを折りたたみ、フランジ上にマウントした構造のNEGカートリッジポンプを開発し、一般の排気ポンプとして広く普及しました。次に同じSAES社で開発したのが、(2)粒度に幅を持たせた粉末に、少量のカーボンを混ぜて強い力で圧縮してペレット(ピル)状に固化する技術でした。このピル材は半導体分野の希ガス純化などに使われるようになりました。その次に開発されたのが、(3)金属ジルコニウム粉末を混ぜて、真空中で1000℃以上の高温に加熱して、多孔質を保ってと焼結する方法で、これもSAES社によって開発されました。このように、NEGの革新的技術の全てがSAES社によって行われ、製品となった全てのNEGポンプが“粉末は飛散しないように固化されていた”のであって、飛散防止が可能なら、一旦粉末化したNEGを再び固化する必要性は無いのです。
 弊社のG-NEGはこの原点に戻り開発したものです。

G-NEGポンプの性能

 下図に示した様な評価装置で調べることができます。H2はNEGのバルク中に拡散するので、排気を続けても排気速度の低下は殆ど起こりませんが、COやN2は排気が進むとNEGの表面を覆い、排気速度が落ちてきます(再活性で初期値に戻る)。このためNEGの性能を表す排気速度Sのグラフは、横軸にどれだけガスを吸着したかを示す排気積算値Qt (m3・Pa)を取り、縦軸に排気速度S(L/s)を取るのが慣例になってます。
 しかし、UHV/XHV領域では、COやN2による劣化は殆ど進みませんので、横軸を通常圧(Pa)で表示した方が特性解釈がし易いので、弊社では通常圧で表示するようにしてます。ただ、S=C[(P2-P2u)/(P1-P1u) -1] ,  P1u, P2u :致達真空、で求めると、10-11Pa以下の真空をNEGポンプで達成出来ると勘違いをすることが多いので、到達真空を差し引かない実効排気速度の式S2 = C (P2/P1 – 1)で求めた曲線も併記し、NEGで到達出来る真空の目安にして頂いております。G-NEGの実効排気速度は10-10Paまで延びており、

XHV発生に適したポンプであることが分かります。

排気速度測定装置

GNEG070-10の排気特性