NEGサポートポンプ Entrapment Pump
CHNEGや市販の非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプと
組み合わせ、10-9Pa以下の極高真空を発生させます。
特許3750767号
10-9Pa以下でも排気速度を維持
従来型のポンプ (スパッターイオンポンプ(SIP)、クライオポンプ、
チタンサブリメーションポンプ、TMP、等)が10-9Pa付近で
急激に排気速度を失うのに対し、NEGサポートポンプは小型で最大排気速度は小さいですが、
極高真空(XHV)に達しても排気速度が低下しません(下図参照)。
<参考:CHNEGのコンセプト>
NEGサポートポンプの特長
1.NEGが排気しないHe, Ar, CH4ガスを効率良く排気し、
NEGをサポート → 詳細解説
2.CHNEGや市販の非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプと組み合わせて使用
3.陰極を1000℃で活性化で極高真空でも放電開始可
4.超低自己ガス放出ポンプ
5.メモリ効果無し、バースト無し、常に清浄なカソード表面を保ちます
6.マグネトロン型 単セルポンプ
7.磁石装着で300℃ベーキング可能
8.メンテナンス性良好
NEGの問題点
NEGは、常温で水素及び一酸化炭素に対する排気速度が非常に大きく、 簡単に超高真空を発生させることができる大変便利なポンプです。 表面分析装置、先端薄膜製造装置、電子顕微鏡、加速器など、 クリーンな真空が求められる装置に多く用いられます。 従来、極高真空を発生させる場合は、スパッターイオンポンプ(以下SIP)を メインにして排気し、NEGはSIPの補助として使われて来ました。
しかしNEGは、不活性ガスを全く排気しない、 さらに水素を吸収すると僅かながらメタンガスを放出するという大きな欠点があるため、 NEG単独では極高真空を発生させることはできません。SIPの問題点
SIPは、質量の比較的大きなガスによってTi原子(カソード)をスパッターし、 スパッターしたTi原子に活性なガスを化学吸着させ、残留ガスを排気します。 化学反応を起こさないHeやArガスは、スパッターしたTi原子で挟み込んで捕らえます (スターセルはこれを強化したポンプです)。 従って、SIPで不活性ガスを排気するためには、Tiを跳ばす重いガス分子が必要で、 その重いガス分子が存在してこそ威力を発揮するポンプです。 このため真空が良くなって残留ガスの主成分が軽いH2になると、 スパッターによる排気速度は急激に低下し、H2に対する排気速度も激減します。 10-5~10-7P台で大きな排気速度が印象的なSIPですが、 極高真空では重くて大きいだけで、あまり役立たないポンプなのです。
NEGサポートポンプとCHNEGによる実際の排気
詳しくは、
NEGサポートポンプを用いて24h以内に10-10Paを発生させる
をご覧下さい。
仮に放電が停止ても、NEGサポートポンプにはカソードを加熱する
機構が付いています。
極高真空の状態でも、加熱により、いつでも再スタート可能です。
また、高温活性時にポンプハウジングの脱ガスが行われますので、
ベーキングのために、ポンプ部全体にヒーターを巻きつける必要はありません。
NEGサポートポンプは、弊社の0.2%BeCu真空材料と組み合わせることで、 コンパクトで、高効率で、メンテナンス性に優れた、 これまでに無い実用的な極高真空システムの設計を可能にします。
スペック
形式 | 陰極活性型マグネトロンイオンポンプ ポンプケース:0.2%BeCu合金 |
陽極 | タンタル円筒(1個) |
陰極 | タンタル製U字状板(活性4V×50A) |
陰極活性 | 1000℃×10min. |
駆動電圧 | 6kV |
磁界 | 0.3Tサマコバ磁石(鉄ヨーク) |
ベーキング | 300℃(磁石装着時) |
排気速度 | 活性化後10-6Pa~10-4Pa間の平均 4L/s(N2)、 2L/s(Ar)、 4L/s(H2) |
到達真空 | 10-9Pa以下 |
取り付けフランジ | ICF070(貫通ボルト穴 ) |
サイズ | 90×90×145mm |
重量 | 本体2.5kg(マグネット込み) |
コントローラ | 標準ラック + 5mケーブル |
捕獲排気法(Entrapment)
NEGサポートポンプはSIPと異なり、捕獲排気法(Entrapment)で排気します。
捕獲排気法とは、残留ガスをイオン化し、そのイオンを高速で金属表面に
叩き付けて排気する方法です。
繰り返しの排気で、ガスの再放出が起こると、排気速度が減少しますので、
NEGサポートポンプは排気に先立って陰極活性を行い、
排気したガスをカソード表面から排出させます。